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相続コラム

身元保証

そもそも「身元保証」って何? なぜ今必要なのか

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高齢者の単身世帯が増加するなかで、病院への入院や施設入所時に「保証人がいないと困る」という声が聞かれるようになっています。

家族や親族に頼れない人が増えた現代において、「身元保証」は避けて通れない現実的なテーマとなりつつあります。

この連載では、そんな身元保証についてわかりやすく解説していきます。

今回は、そもそも身元保証とは何か、なぜ今必要とされているのかを社会的背景とともに紐解いていきます。

目次

「身元保証」とは? まず押さえておきたい基本

入院や入所時に求められる「保証人」って?

病院や介護施設に入所する際、「保証人をご用意ください」と案内された経験がある方も多いのではないでしょうか。このときに求められるのが、いわゆる「身元保証人」です。
身元保証人とは、本人が病院等に入院するにあたり、本人の身元を保証する人のことを指し、次のような役割や責任があります。

  • 本人が入院費等を支払えない場合に本人に代わって支払うこと
  • 本人に万が一のことがあった際の緊急連絡先となること
  • 本人が病院等で亡くなった際にご遺体や遺品を引き取ること

身元保証人の役割や責任に関しては、直接的な法律等はありませんが、病院等と締結する身元保証契約書においては、身元保証人に上記のような責任を課す旨の記載がある場合がほとんどです。

なぜ今、身元保証が注目されているのか?

高齢単身者の増加がもたらす“保証人問題”

身元保証の重要性が近年注目されている理由には、高齢者の単身化が進んでいるという社会的背景があります。

厚生労働省の推計によると、高齢者の5人に1人が一人暮らしをしており、さらに、独身で子どもがいない場合や、兄弟姉妹や親戚との関係性の希薄化などにより、「いざというときに頼れる人がいない」という方が確実に増えているのです。

かつては「何かあれば家族が支えてくれる」という環境が当たり前でしたが、今やそれは過去の話。家族のかたちは大きく変化しつつあります。

そのような状況のなかで、現実的な問題として浮上しているのが、入院や施設入所時の保証人問題や、死後の事務手続き(火葬・埋葬・遺品整理など)を誰が担うのかという課題です。

とくに身寄りのない高齢者にとっては、「誰が自分の最期を見届けてくれるのか」「入院の手続きができないまま入院を断られるのでは」といった不安がつきまといます。

広がる専門職・法人のサポート体制

このような社会背景から、近年は弁護士・司法書士などの専門職や、身元保証を専門に行う法人団体が「保証人」として関わるケースが急増しています。

具体的には、サービスの利用者と専門家・事業者との間で、あらかじめ委任契約を締結し、入院時に病院等との間で身元保証契約を締結し、医療同意や緊急時の対応、また、入院費等の一時立て替え等を委任契約に基づいて行います。
なお、あらかじめ締結する委任契約には、保証の範囲や費用等の詳細が明記されており、専門家等への報酬や費用は預託金から支出されます。

成年後見制度との違い

「後見制度だけでは足りない」理由

「それなら成年後見制度を使えばいいのでは?」と思われる方もいらっしゃるかもしれません。

たしかに、成年後見制度も判断能力の低下に備える制度のひとつです。しかし、身元保証サービスと成年後見制度では、対応できる範囲とタイミングに大きな違いがあります。

成年後見制度は、本人の判断能力がすでに低下したあとに家庭裁判所の審判によって開始される制度です。

開始までには医師による診断書の提出や家庭裁判所の審理が必要で、一定の時間と手続きの負担がかかります。

また、制度上の役割はあくまで「財産管理」や「身上監護」に限定されており、以下のような対応は原則できません。

  • 本人の意思がまだある段階での医療や施設入所の手続き支援
  • 緊急時の病院や施設との連絡調整
  • 死後の葬儀・納骨・家財整理などの「死後事務」

自分の将来は、自分で備える時代へ

成年後見制度と比較して、身元保証に関する契約をはじめとする委任契約は、本人の意思能力が十分であれば締結でき、事前の医療同意や死後の事務手続きまで一貫して備えられるのが大きな特徴です。

つまり、判断力がある段階で「自分の将来を自分で決めておく」ことができるのです。

さらに、医療・介護の現場で必要とされる実務的な支援(連絡調整・同意・緊急対応など)や、死後の事務も含めて依頼できるため、“現場で実際に役立つ”サポートが可能となります。

まとめ

高齢化が進むなかで、「身元保証」はもはや一部の人の課題ではなく、誰にでも関係し得る問題となっています。

家族に頼れないからこそ、専門家や法人との契約で自分の人生の最期まで備える──これは「おひとりさま」に限らず、誰にとっても必要な選択肢になりつつあります。

身元保証という選択肢も含めて、自分らしい備え方を一度検討してみてはいかがでしょうか。

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